FilmCraftを実機検証|無料のPremiere Pro代替は日本語テロップを入れて書き出せる?【2026年版】

※2026年10月14日時点の情報です。FilmCraft v0.7.2(2026年10月13日公開、日本時間)を、弊社の Mac(macOS 27.0.1、Apple シリコン、メモリ24GB)にインストールして確かめました。FilmCraft は数日おきに新しい版が出ているため、最新の状況は公式の GitHubで確認してください。

Premiere Pro は買い切りではなくサブスクリプションで、単体プランでも月額3,280円(年間プラン・月々払い、税込。2026年10月14日に Adobe 日本の料金ページで確認)かかります。「たまに短い動画を切ってテロップを入れるだけ」なら、無料で済ませたいところです。

そこへ2026年9月末、Premiere Pro と同じ画面・操作をうたう無料のオープンソース「FilmCraft」が公開されました。GitHub のスターは約2週間で約1万3,000(10月14日時点で12,962)です。そこで実際にインストールし、日本語で使えるか・カット編集と日本語テロップ・書き出しが一通りできるかを試しました。

結論:FilmCraftは基本の編集と日本語テロップが動く。ただし実務の主力にはまだ早い

確かめたこと 結果
入手・安全性 GitHub の公式配布物。Apple の公証(ノータライズ)済みで、チェックサムも一致
日本語表示 初回起動から日本語。「Untitled」「Video 1」など一部の既定名は英語
カット編集 2秒分を切り取って詰める編集がフレーム単位で正確
日本語テロップ・字幕 ヒラギノなど Mac のフォントで横書き・縦書きとも表示。書き出しにも焼き込まれた
書き出し(14秒・フルHD) H.264 で約13秒、ハードウェアエンコードで約4秒。ffmpeg で最後までエラーなく読み込める MP4
Premiere との行き来 .prproj は開けない。XML 経由ではテロップが引き継がれない
開発段階 公式の表示はalpha(お試し版)。実務での置き換え度は開発元の自己評価で約56%

短いテスト素材では、カットから書き出しまで一通りできました。一方で、Premiere のプロジェクトは開けず、長い素材での速度は開発元も課題に挙げています。「Premiere をやめて乗り換える」のではなく、「Premiere がないパソコンで短い動画を作る」用途から試すのが現実的です。

FilmCraftとは:ArtCraftが作るPremiere Pro互換の無料ソフト

FilmCraft は、AI 画像・動画ツール「ArtCraft」の開発チーム(GitHub の storytold)が作る動画編集ソフトです。同じチームは Photoshop の代わりの PhotoCraft など、計13本の「Crafting Apps」を並行して開発しています。

  • ライセンス:MIT または Apache-2.0(商用利用も可)
  • 作り:Rust で一から書かれたネイティブアプリ。H.264・HEVC・ProRes・AAC などのコーデックも FFmpeg を使わず自前で実装しています
  • 対応 OS:macOS・Windows・Linux・FreeBSD、ブラウザ版もあり
  • 料金:アプリは無料

注意したいのは名前の似た偽の配布ページです。GitHub には「ArtCraft-Corp」という別アカウントが「公式の無料ダウンロード」とうたうリポジトリを出しています。ダウンロードは github.com/storytold の Releases か、公式サイト getartcraft.com からにしてください。

FilmCraftのインストールと日本語表示を確認

GitHub の Releases から Mac 用の filmcraft-0.7.2-macos-universal.dmg(約73MB)をダウンロードし、公式のチェックサム一覧(SHA256SUMS.txt)と照合して一致を確認しました。macOS の検査コマンドでも、dmg とアプリの両方がApple の公証済み(Notarized Developer ID)と判定されています。署名の名義は PhotoCraft と同じ「Learning Machines LLC」でした。

起動すると、設定を何も変えずに最初から日本語の画面が出ました。macOS の言語設定に合わせて切り替わる仕組みです。README は Premiere と同じパネルやショートカットをうたっています。

FilmCraft 0.7.2の起動直後の画面。ソース、プログラム、プロジェクト、タイムラインなどのパネル名が日本語で表示されている
起動直後の画面(FilmCraft v0.7.2、2026年10月14日に弊社の Mac で撮影)。設定を変えずに日本語で表示された

日本語化は「ほぼ」です。新しいプロジェクトの名前「Untitled」、トラックの既定名「Video 1」「Audio 1」「Subtitle」、書き出し画面の「Hardware Encoding」の行は英語のままでした。開発元の資料でも、日本語の訳は全体の99.7%で「部分対応」の扱いです。

FilmCraftでカット編集と日本語テロップを試した

テスト用の素材は、ffmpeg で作った8秒の動画2本(時刻が表示されるテスト映像と図形の映像)と、12秒の音声です。これをフルHD・30fps のシーケンスに並べ、次の編集をしました。

  • 1本目の動画の2秒〜4秒をカットして、後ろを詰める(リップル削除)
  • 冒頭に日本語のテロップ(ヒラギノ角ゴ、半透明の背景つき)
  • 後半に縦書きのテロップ(ヒラギノ明朝、縁取りつき)
  • 字幕トラックに日本語の字幕を1つ

カットで最初に詰めようとしたとき、「音声トラック A2 が同期ロックされていて、編集の邪魔になるクリップがある」という趣旨のエラー(英語)で止まりました。A2 の同期ロックを外すと削除でき、16秒が14秒になりました。書き出した動画で確かめると、カット位置はフレーム単位でぴったりでした。

FilmCraftの編集画面。プログラムモニターに「オープンソースで動画編集」という日本語テロップが表示され、右のプロパティパネルに位置やスケールが日本語で並ぶ
テスト映像に日本語テロップを入れた編集画面(フォントと背景を変える前)。プロパティパネルも日本語

テロップは、Mac に入っているヒラギノや BIZ UD などの日本語フォントを選べます。縦書き用のテキストもあり、長音「ー」も縦向きで正しく表示されました。プロジェクトを保存し、アプリを再起動して開き直しても、フォントの指定・位置・字幕は残っていました。

FilmCraftのプログラムモニターに、縦書きの「縦書きのサンプル」と、下部の字幕「これはサンプルの字幕です。」が表示されている画面
縦書きテロップ(ヒラギノ明朝)と字幕トラックの日本語字幕。タイムラインの上に字幕トラック C1 が並ぶ

なお、文字の入力は、検索欄に「サンプル」と入れて絞り込めることまでを確かめました。今回は自動操作で確定済みの文字を送ったため、かな漢字変換(IME)を使った入力は確かめていません。

FilmCraftの書き出し:14秒のフルHDで約13秒

書き出し画面も日本語です(「Hardware Encoding」の行や概要の詳細は英語)。字幕を映像に焼き込む設定で、14秒・1920×1080・30fps の動画を3通りに書き出しました。

FilmCraftの書き出し画面。形式H.264、プリセット、フレームサイズ、ビットレート方式、オーディオ形式などの設定が日本語で並ぶ
書き出し画面(保存先のパスは塗りつぶし)。「Hardware Encoding」の行など一部は英語
書き出し設定 かかった時間 ファイルサイズ
H.264(MP4、既定のプリセット) 12.9秒 38.3MB
H.264(ハードウェアエンコードを使う) 4.1秒 30.3MB
Apple ProRes 422 HQ 10.5秒 315MB

書き出した MP4 は、動画解析ツール ffprobe で H.264(High)・1920×1080・30fps・420フレーム、音声は AAC・48kHz のステレオと確認できました。既定の設定の MP4 は、ffmpeg でエラー検出を厳しくして最後まで読んでもエラーなしでした。テロップ・縦書き・字幕も、画面で見たとおりに映像に入っていました。

FilmCraftで書き出したMP4から取り出した4コマ。日本語テロップ、縦書きテロップ、字幕が映像に焼き込まれている
書き出した MP4 から取り出した4コマ(1.5秒・3秒・8秒・13秒)。テロップ・縦書き・字幕が映像に入っている

ただし、これは短くて軽いテスト素材での数字です。実際のカメラやスマホで撮った長い動画での速さは、今回は確かめていません。開発元の README も、いまの大きな課題の筆頭に「大きな素材での速度」を挙げています。

もう一つの注意点は、Premiere との行き来です。README によると、Premiere のプロジェクトファイル(.prproj)は開けず、Final Cut Pro 7 XML などを介してシーケンスを持ち込む形です。今回 FilmCraft から XML を書き出したところ、テロップは「XML に相当するものがないため、読み込み時には戻らない」という報告が出ました。テロップの多い編集は、XML ではそのまま引き継げないと考えておきましょう。

FilmCraftが向いている人・まだ向かない人

向いている人:

  • Premiere の操作に慣れていて、契約していないパソコンで短い動画を作りたい
  • カット・テロップ・字幕・書き出しといった基本の作業が中心

まだ向かない人:

  • 納期のある仕事の主力ソフトとして使いたい(開発元の ROADMAP.md では alpha。実務での置き換え度は約56%と自己評価。2026年10月10日時点)
  • Premiere のプロジェクトをそのまま開きたい、テロップごと行き来したい
  • VST3・Audio Units・OpenFX などのプラグインを使っている

安定した無料ソフトが欲しいなら、長年の実績がある Kdenlive や Shotcut も候補になります。違いは「Adobe Premiere Pro のオープンソース代替」で比較しています。

まとめ:FilmCraftは「Premiereに似た無料の編集ソフト」として今から試す価値あり

FilmCraft は、公開から約2週間で、日本語の画面・カット編集・日本語テロップ・書き出しまでが一通り動きました。一方で、公式の表示は alpha で、数日おきに新しい版が出る開発途中の段階です。まずは個人の短い動画や練習用の編集から試し、仕事の案件は Premiere を残したまま様子を見るのがおすすめです。

ライセンスや最新バージョン、日本語対応の状況は「FilmCraft の詳細ページ」で随時更新しています。同じ ArtCraft の画像編集ソフトは「PhotoCraft を実機検証」で、13本の全体像は「ArtCraft の Crafting Apps まとめ」で紹介しています。

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