GridCraftを実機検証|無料のExcel代替は関数とxlsxが使える?日本語・PDFも試した【2026年版】

※2026年10月14日時点の情報です。GridCraft v0.6.1(2026年10月13日公開、日本時間)を、弊社の Mac(macOS 27.0.1、Apple シリコン、メモリ24GB)にインストールして確かめました。GridCraft は数日おきに新しい版が出ているため、最新の状況は公式の GitHubで確認してください。

Excel は日本では単体のサブスクリプションが見当たらず、個人で使うなら Microsoft 365 Personal の月額2,130円(月額プラン、税込。2026年10月14日に Microsoft の日本向けページで確認)などのプランを契約するのが基本です。簡単な集計だけなら、無料で済ませたいところです。

そこへ2026年10月、Excel をゼロから作り直したとうたう無料のオープンソース「GridCraft」が公開されました。そこで実際にインストールし、Excel の関数が正しく計算されるか・.xlsx を保存して読み戻せるか・日本語で使えるかを試しました。

結論:GridCraftは関数とxlsxは良好。ただし日本語のPDFは出せない

確かめたこと 結果
入手・安全性 GitHub の公式配布物。Apple の公証(ノータライズ)済みで、チェックサムも一致
画面の日本語 リボンとファイル画面は日本語。ダイアログなどは英語で、開発元の資料では日本語化は約12%
関数の計算(15項目) VLOOKUP・XLOOKUP・SUMIF・TEXTJOIN などすべて正しい値
.xlsx の保存と読み戻し 数式・日本語・書式・計算結果がExcel の形式で残った
セルへの日本語入力 入力・表示はできた。見出しの上が切れるなど表示の粗さあり
PDF 書き出し 日本語がすべて「?」になる(開発元の資料どおり)
開発段階 公式の表示はalpha(お試し版)。実務に使える度合いは開発元の自己評価で約50%

計算と .xlsx の読み書きは、今回のテスト用ブックでは期待どおりでした。一方で、画面の大半の日本語化と、日本語の PDF 書き出しはまだです。今の段階では「Excel のない PC で .xlsx を開いて確認・少し直す」用途から試すのが現実的です。

GridCraftとは:ArtCraftが作るExcel互換の無料ソフト

GridCraft は、AI 画像・動画ツール「ArtCraft」の開発チーム(GitHub の storytold)が作る表計算ソフトです。同じチームは Photoshop の代わりの PhotoCraft、Premiere Pro の代わりの FilmCraft など、計13本の「Crafting Apps」を並行して開発しています。

  • ライセンス:MIT または Apache-2.0(商用利用も可)
  • 作り:Rust で一から書かれたネイティブアプリ。Excel のコードを使わない「クリーンルーム再実装」とされています
  • 対応 OS:macOS・Windows・Linux・FreeBSD、ブラウザ版もあり
  • 料金:アプリは無料。README によると、サブスクリプションやライセンスサーバーはありません

注意したいのは名前の似た偽の配布ページです。GitHub には「ArtCraft-Corp」という別アカウントが「公式の無料ダウンロード」とうたうリポジトリを出しています。ダウンロードは github.com/storytold の Releases か、公式サイト getartcraft.com からにしてください。

GridCraftのインストールと日本語表示を確認

GitHub の Releases から Mac 用の gridcraft-0.6.1-macos-universal.dmg(約24MB)をダウンロードし、公式のチェックサム一覧(SHA256SUMS.txt)と照合して一致を確認しました。macOS の検査コマンドでも、dmg とアプリの両方がApple の公証済み(Notarized Developer ID)と判定されています。署名の名義は PhotoCraft と同じ「Learning Machines LLC」でした。

起動すると、リボンのタブ(ホーム・挿入・数式・データなど)とボタン名は日本語で表示されました。macOS の言語設定に合わせて切り替わる仕組みです。README は Excel と同じ操作をうたっています。

GridCraft 0.6.1の起動直後の画面。ファイル、ホーム、挿入、数式、データなどリボンのタブとボタン名が日本語で表示されている
起動直後の画面(GridCraft v0.6.1、2026年10月14日に弊社の Mac で撮影)。リボンは日本語で表示された

ただし、日本語になっているのは一部だけです。開発元の資料(docs/localization-parity.md、10月12日更新)でも、日本語の訳は268項目・全体の約12%で、状態は「メニューのみ」とされています。今回も、ファイル画面は日本語でしたが、並べ替えなどのダイアログ、「AutoSave」「Book1」「Sheet1」は英語のままでした。関数名も英語のみで、日本語の入力(IME)は開発元も「未検証」としています。

GridCraftのデータタブが日本語で表示され、その上に開いた並べ替えダイアログはSort、Sort by、Add Levelなど英語のまま
データタブは日本語、並べ替えダイアログは英語。開発元の資料でも日本語化は約12%

GridCraftでExcelの関数を試した:15項目すべて一致

テスト用のブックは、Python のライブラリ openpyxl で作りました。「売上」「商品マスタ」の2シートに、よく使う関数を入れています。openpyxl は計算結果を保存しないため、開いたときの値は GridCraft が自分で計算したものです。

  • 検索:VLOOKUP、XLOOKUP、INDEX と MATCH の組み合わせ
  • 集計:SUM、AVERAGE と ROUND、MAX、COUNTIF、SUMIF
  • そのほか:IF、ROUNDDOWN、TEXT、DATEDIF、TEXTJOIN、LEN

あらかじめ Python で計算しておいた答えと比べると、15項目すべてが一致しました。日本語の商品名を返す VLOOKUP や、別シートを参照する XLOOKUP も正しく動きました。

GridCraftで日本語の売上表を開き、XLOOKUPの数式が入ったセルを選んだ画面。商品名や区分、合計などが表示されている
openpyxl で作ったテスト用ブックを開いた画面。VLOOKUP・XLOOKUP などの計算結果は答えと一致した

画面からセルの数量を書き換えると、金額・合計・平均・件数など関係するセルがすべて再計算され、こちらも答えと一致しました。セルに「備考:日本語の入力テスト」と入力すると、セルと数式バーの両方に正しく表示されます(自動操作で確定済みの文字を送ったため、かな漢字変換での入力は確かめていません)。

GridCraftで数量を書き換えて合計が12,600に再計算され、A22セルに日本語の備考を入力した画面
数量を書き換えると関係するセルが再計算された。A22 には日本語を入力

表示には粗さもあり、14ポイントの見出しは行の高さが足りず上が切れました。セル内の日本語が数字よりわずかに上にずれて見え、全角かっこの前後に隙間が空いて見える点も気になりました。

GridCraftで保存したxlsxを読み戻した結果

GridCraft で別名保存した .xlsx を、もう一度 openpyxl で読み込んで中身を調べました。

  • シート名・日本語の文字列・数式はそのまま。XLOOKUP や TEXTJOIN は、Excel と同じ「_xlfn.」付きの形式で保存されていた
  • 日付と桁区切りの表示形式、太字、見出しの塗りつぶし色、列幅も残っていた
  • 計算結果も一緒に保存されていたため、再計算しないソフトで開いても値が見える

今回の単純なブックでは、往復で中身は崩れませんでした。ただし、この .xlsx を Excel 本体で開いた結果は確かめていません。開発元も、Excel が修復の確認なしで開けるかを実際のファイル群ではまだ確かめていないとしており、グラフは保存し直すと種類や設定が失われることがあると書いています。

GridCraftのPDF書き出し:日本語はすべて「?」になる

ファイル画面の「エクスポート」→「PDF の作成」と同じ機能で、同じシートを PDF に書き出しました。結果は、日本語の文字がすべて「?」に置き換わるというものです。日付・数字・英字は正しく出ますが、見出しや商品名、「12,600円」の「円」まで「?」でした。用紙も既定ではA4ではなくレターサイズでした。

GridCraftで書き出したPDF。日付と数字は表示されているが、日本語の見出しや商品名はすべて疑問符になっている
書き出した PDF。日本語の文字はすべて「?」になった(開発元の資料どおり)

PDF に使われていたフォントは Helvetica(埋め込みなし)だけでした。開発元の資料にも「PDF 書き出しは PDF の標準14フォントだけを使うため、日本語などラテン文字以外は出力できない」とあり、そのとおりの結果です。日本語の表を PDF で渡す用途には、今は使えません。

GridCraftが向いている人・まだ向かない人

向いている人:

  • Excel のないパソコンで、受け取った .xlsx を開いて確認・少し直したい
  • Excel に近いリボンの操作で、関数を使った簡単な集計をしたい

まだ向かない人:

  • 画面をすべて日本語で使いたい(開発元の資料で日本語化は約12%)
  • 日本語の表を PDF にして渡したい(今回、日本語がすべて「?」になった)
  • 経理や取引先とのやり取りなど、計算結果や見た目の違いが許されない(開発元の ROADMAP.md では alpha。実務に使える度合いは約50%と自己評価)

安定した無料ソフトが欲しいなら、長年の実績がある LibreOffice Calc も候補になります。違いは「Microsoft Excel のオープンソース代替」と「Microsoft 365 のオープンソース代替」で比較しています。

まとめ:GridCraftは「xlsxを開ける無料ソフト」として試す価値あり

GridCraft は、公開から約1週間で、Excel の主な関数を正しく計算し、.xlsx を崩さずに保存できました。一方で、画面の日本語化は一部だけで、日本語の PDF は出せません。公式の表示は alpha で、数日おきに新しい版が出る開発途中の段階です。まずは .xlsx の確認や簡単な集計から使い、大事なファイルはコピーで試すのがおすすめです。

ライセンスや最新バージョン、日本語対応の状況は「GridCraft の詳細ページ」で随時更新しています。同じ ArtCraft の画像編集ソフトは「PhotoCraft を実機検証」で、13本の全体像は「ArtCraft の Crafting Apps まとめ」で紹介しています。

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