CADCraftを実機検証|無料のAutoCAD代替はDXF・DWGを扱える?日本語の図面で試した【2026年版】

※2026年10月14日時点の情報です。CADCraft v0.6.2(2026年10月13日公開、日本時間)を、弊社の Mac(macOS 27.0.1、Apple シリコン、メモリ24GB)にインストールして確かめました。CADCraft は1〜2日おきに新しい版が出ているため、最新の状況は公式の GitHubで確認してください。

AutoCAD は1年契約で84,700円(月あたり7,059円相当)、1か月契約なら月額11,000円(いずれも税込、Autodesk 日本の購入ページで2026年10月14日に確認)かかります。「取引先から届いた DXF を開いて確認したい」「簡単な図を描きたい」くらいの用途には、なかなかの出費です。

そこで、PhotoCraft で話題の ArtCraft チームが公開したAutoCAD 互換をうたう無料のオープンソース CAD「CADCraft」を実際にインストールし、日本語入りの DXF を開けるか、作図して DXF・DWG で保存できるかを試しました。

結論:CADCraftは日本語のDXFを開けた。ただしpre-alphaで、保存したDWGはAutoCADで未確認

確かめたこと 結果
入手・安全性 GitHub の公式配布物。Apple の公証済みで、チェックサムも一致
画面の言語 英語(日本語の表示言語はない)
日本語入りの DXF を開く UTF-8 版・Shift_JIS 版とも文字・画層名・線・円を正しく読めた
作図 AutoCAD と同じ名前のコマンド(CIRCLE・LINE・DIMLINEAR・TEXT)で描けた
DXF・DWG で保存 保存でき、CADCraft で開き直すと元どおり。AutoCAD での確認はしていない
日本語の画層名 図面上は正しいが、画層の一覧では「□□」と表示
開発段階 ROADMAP の表示はpre-alpha(お試し版より前)。実務に使える度合いは開発元の自己評価で約38%

日本語の DXF を開いて確認するところまでは、弊社の試験ではきちんと動きました。一方で開発元自身が「pre-alpha」としており、保存した DWG が AutoCAD で正しく開けるかは開発元も確かめていません。「図面を見る・練習する」用途から試し、納品する図面には使わないのが安全です。

CADCraftとは:ArtCraftが作るAutoCAD互換の無料CAD

CADCraft は、AI 画像・動画ツール「ArtCraft」の開発チーム(GitHub の storytold)が作る 2D 中心の CAD ソフトで、Photoshop 相当の PhotoCraft などと並ぶ「Crafting Apps」の1本です。

  • ライセンス:MIT または Apache-2.0(商用利用も可)
  • 作り:Rust で一から書かれたネイティブアプリ。AutoCAD の「クリーンルーム再実装」とされ、Autodesk とは無関係と README に明記
  • 対応 OS:macOS・Windows・Linux・FreeBSD、ブラウザ版もあり
  • ファイル:DXF の読み書き、DWG は オープンソースの acadrust ライブラリ経由で読み書き

ROADMAP(2026年10月10日時点)は開発段階をpre-alphaとし、AutoCAD for Mac のメニュー項目の50%にコマンドがあり、実際の仕事に使える度合いは約38%、2D 製図の担当者にとっては約28%と自己評価しています。なお、GitHub には「ArtCraft-Corp/ArtCraft」という名前の似た非公式の配布ページがあるため、ダウンロードは github.com/storytold の Releases か getartcraft.com からにしてください。

CADCraftのインストールと画面の言語

Releases から Mac 用の cadcraft-0.6.2-macos-universal.dmg(約62MB)をダウンロードし、公式のチェックサム一覧と一致することを確認しました。dmg とアプリはどちらもApple の公証済みで、署名の名義は PhotoCraft と同じ「Learning Machines LLC」でした。

起動すると、左にツールセット、右に画層とプロパティ、下にコマンドラインが並ぶ画面が開きます(README は CADCraft をAutoCAD のクリーンルーム再実装とうたっています)。ただし表示は英語で、README に載っている対応言語(英語のほか、韓国語・中国語など12言語)にも日本語は入っていません。

CADCraft 0.6.2の起動画面。左にDraw・Hatch・Modifyなどのツールセット、右にLayersとProperties、下にコマンドラインが英語で表示されている
起動画面(CADCraft v0.6.2、2026年10月14日に弊社の Mac で撮影)。AutoCAD for Mac に似た配置で、画面は英語

日本語入りのDXFを開く:UTF-8もShift_JISも読めた

外部のサンプルは使わず、弊社で Python を使って DXF を手書きで作りました。中身は、長方形の外形線(画層名「外形」)、円2つ、日本語の文字2つ(「オープンソースの図面サンプル」「部品A(単位:mm)」)です。文字コードが違う2種類を用意しました。

  • 2007形式を宣言した UTF-8 の DXF
  • 古い R12 形式で、日本語版 AutoCAD と同じ Shift_JIS(ANSI_932)の DXF

どちらも開くと、日本語の文字と画層名が文字化けせず、線と円の座標も元のとおりでした。古い形式の日本語の DXF を受け取る場面でも、まず中身を確認する用途には使えそうです。

CADCraftでShift_JISのDXFを開いた画面。オープンソースの図面サンプル、部品A(単位:mm)という日本語の文字と、赤い長方形の外形線と円2つが表示されている
弊社で作った Shift_JIS(R12形式)の DXF を開いた画面。日本語の文字は文字化けしなかった

AutoCADと同じコマンドで作図してみた

開いた図面に、コマンドラインから circle 100,50 10(円)、line 0,50 200,50(中心線)、dimlinear(長さの寸法)を打ち込むと、円・線・寸法が描けました。いずれも AutoCAD と同じ名前のコマンドです。TEXT コマンドで日本語の文字「寸法と中心線を追加」も追加できています。ただし弊社は画面を自動操作して文字列を直接送っており、キーボードの日本語入力(IME)からの入力は試していません。開発元の資料では、IME への対応は「予定」とされています。

気になったのは寸法です。既定の寸法スタイルのままだと、mm 単位で幅200の図形に対して寸法の文字や矢印が小さすぎてほとんど見えませんでした。寸法スタイルの全体の尺度(DIMSCALE)を25にすると読める大きさになりました。寸法値は「200.0000」と小数4桁で表示されます。

CADCraftで円、中心線、長さ200の寸法、寸法と中心線を追加という日本語の文字を追加した図面
コマンドラインから円・中心線・寸法・日本語の文字を追加した画面

DXF・DWGで保存した中身を確認

描いた図面を DXF と DWG で保存しました。DXF はR2000(AC1015)形式で書き出され、テキストとして開くと、日本語は「\U+30AA…」という AutoCAD の Unicode 表記に変換されて入っていました。寸法も寸法オブジェクトとして記録されています。DWG はファイルの先頭が「AC1018」の AutoCAD 2004 形式で保存されました(README は DWG の書き出しを R2000 と記載していますが、開発元の file-format-parity.md によると、元の図面の版を引き継ぎ、古い版なら2004形式以上で保存する仕組みです。今回は R12 の DXF から開いた図面でした)。CADCraft で開き直すと円・線・寸法・日本語の文字・画層名がすべて元どおりでした。

ただし、保存した DWG を AutoCAD で開いて確かめてはいません(弊社は AutoCAD を持っていません)。開発元の ROADMAP も、「CADCraft が保存した DWG は扱えない要素を落とし、AutoCAD で一度も確認されていない」ことを pre-alpha の理由に挙げています。

もう一点、開き直した図面で画層の一覧を開くと、日本語の画層名「外形」が「□□」と表示されました。図面上やデータの中身は正しい名前なので、一覧の表示に使う書体が日本語に対応していないようです。

CADCraftで保存したDWGを開き直した画面。図面は元どおりだが、右の画層一覧では日本語の画層名が四角い記号で表示されている
保存した DWG を CADCraft で開き直した画面。右の画層一覧では日本語の画層名「外形」が「□□」になった

CADCraftが向いている人・まだ向かない人

向いている人:

  • 受け取った DXF を、AutoCAD のないパソコンで開いて確認したい(AutoCAD で作った DWG を開くのは弊社では未確認)
  • AutoCAD のコマンド操作に慣れていて、簡単な 2D の図を無料で描きたい
  • Mac・Linux・ブラウザで同じ CAD を試したい

まだ向かない人:

  • 取引先に納品する図面を作る、DWG をやり取りする(pre-alpha で、保存した DWG は AutoCAD で未確認)
  • 日本語の画面で使いたい、日本語入力で文字を多く書き込む
  • 3D モデリングや AutoLISP、ダイナミックブロックが欠かせない(開発元の資料でも未対応や一部対応)

まとめ:CADCraftは「DXFを開いて確認する」用途から試す価値あり

CADCraft は、英語の画面ながら、日本語入りの DXF を UTF-8・Shift_JIS のどちらでも正しく開け、AutoCAD と同じ名前のコマンドで作図・保存できました。一方で、開発段階は pre-alpha で、保存した DWG の AutoCAD での見え方は開発元も弊社も確かめていない状態です。図面の閲覧や練習から使い始め、本番の図面は AutoCAD で扱い続けるのがおすすめです。

ライセンスや最新バージョンは「CADCraft の詳細ページ」で、ほかの選択肢は「AutoCAD のオープンソース代替」で比較しています。ArtCraft の検証は「PhotoCraft を実機検証」、シリーズ全体は「ArtCraft の Crafting Apps まとめ」もあわせてご覧ください。

Autodesk、AutoCAD、DWG は Autodesk, Inc. の商標または登録商標です。CADCraft は Autodesk とは関係のない独立したオープンソースプロジェクトです。

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