DeckCraftを実機検証|無料のPowerPoint代替で日本語スライドは作れる?pptx・PDFを試した【2026年版】
2026-10-19
※2026年10月14日時点の情報です。DeckCraft v0.6.1(2026年10月13日公開、日本時間)を、弊社の Mac(macOS 27.0.1、Apple シリコン、メモリ24GB)にインストールして確かめました。DeckCraft は1〜2日おきに新しい版が出ているため、最新の状況は公式の GitHubで確認してください。
PowerPoint は日本では単体のサブスクリプションが見当たらず、個人ならMicrosoft 365 Personal(月額2,130円、年額21,300円、税込)を契約するのが基本です。買い切りの Office Home 2024 も41,380円(税込)かかります(いずれも Microsoft の日本向けページで2026年10月14日に確認)。「たまにスライドを作るだけ」なら、もっと安く済ませたいところです。
そこで、PhotoCraft で話題の ArtCraft チームが公開したPowerPoint 互換をうたう無料のオープンソース「DeckCraft」を実際にインストールし、日本語のスライドを作って .pptx と PDF で保存できるかを試しました。
結論:DeckCraftで日本語スライドは作れる。ただし画面は英語、縦書きは横倒し
| 確かめたこと | 結果 |
|---|---|
| 入手・安全性 | GitHub の公式配布物。Apple の公証済みで、チェックサムも一致 |
| 画面の言語 | 英語のみ(Mac を日本語にしていても英語) |
| 日本語の入力・表示 | タイトル・箇条書きとも表示できた。テーマによっては明朝体風になる |
| .pptx 保存 | 日本語の文字がそのまま入った .pptx になり、開き直しても同じ内容 |
| PDF 書き出し | 日本語も欠けずに出た。ただし見た目は画像で、その上に検索用の文字 |
| 縦書き | 行ごと回転するだけで、文字が横倒し |
| 開発段階 | 開発元の ROADMAP.md の段階はalpha(お試し版)。実務に使える度合いは開発元の推定で約55% |
横書きの日本語スライドを作り、.pptx と PDF で保存するところまではできました。一方、画面は英語だけで、縦書きや PowerPoint との見た目の一致はまだこれからです。「PowerPoint の代わり」ではなく「簡単な資料を無料で作る道具」として試すのが現実的です。
DeckCraftとは:ArtCraftが作るPowerPoint互換の無料ソフト
DeckCraft は、AI 画像・動画ツール「ArtCraft」の開発チーム(GitHub の storytold)が作るプレゼンテーションソフトで、Photoshop 相当の PhotoCraft などと並ぶ「Crafting Apps」の1本です。
- ライセンス:MIT または Apache-2.0(商用利用も可)
- 作り:Rust で一から書かれたネイティブアプリ。PowerPoint の「クリーンルーム再実装」とされています
- 対応 OS:macOS・Windows・Linux・FreeBSD、ブラウザ版もあり
- 機能:README によると、スライドマスター、8つのテーマ、図形・表・グラフ、画面切り替えやアニメーション、発表者ビューなど
README は開発段階をalphaとし、PowerPoint の機能の幅の79%(中核機能では92%)をカバーし、実際の仕事で置き換えられる段階までは約55%と自己評価しています(ROADMAP.md の「Ready for real work」も約55%。いずれも開発元の推定値、2026年10月14日に確認)。なお、GitHub には「ArtCraft-Corp/ArtCraft」という名前の似た非公式の配布ページがあるため、ダウンロードは github.com/storytold の Releases か getartcraft.com からにしてください。
DeckCraftのインストールと画面の言語
Releases から Mac 用の deckcraft-0.6.1-macos-universal.dmg(約76MB)をダウンロードし、公式のチェックサム一覧と一致することを確認しました。dmg とアプリはどちらもApple の公証済みで、署名の名義は PhotoCraft と同じ「Learning Machines LLC」でした。
起動すると、テーマを選ぶスタート画面が出ます。弊社の Mac は日本語の設定ですが、メニューやリボンはすべて英語でした。開発元の資料(localization-parity.md)でも、日本語の翻訳は0%とされています。リボンには Home・Insert・Design・Transitions… などのタブが英語で並びます。

DeckCraftで日本語のスライドを作る
テーマ「Harbor」で新しいプレゼンを作り、タイトルに「オープンソースで作るスライド」と入力しました。日本語は問題なく表示されました(弊社は自動操作で確定済みの文字を入れており、IME で変換しながら入力する操作そのものは確かめていません)。ただ、このテーマの見出し・本文のフォント(Merriweather・Open Sans)は日本語を持っていないため、日本語の部分は自動で明朝体風の書体になりました。

2枚目には日本語の箇条書きを3行入れ、本文のフォントを Mac に入っている「ヒラギノ角ゴシック」に変えました。角ゴシックで表示されました(行間は少し詰まりました)。

弱点ははっきりしていて、縦書きのレイアウトに日本語を入れると、行ごと90度回転するだけで文字が横倒しになりました。括弧や「ー」の向きも横向きのままです。開発元の資料にも「縦書きは回転表示のみ」と書かれており、縦書きの資料はまだ作れません。

.pptx保存とPDF書き出しの中身を確認
作ったスライドを .pptx で保存し、中身(zip の中の XML)を確かめました。日本語の文字はスライドごとの XML にそのまま入っていて、DeckCraft で開き直しても内容は同じでした。気になったのは、テーマの東アジア用フォントの欄が空だったことです。PowerPoint で開くと、日本語の書体は相手のパソコンの設定で決まる可能性があります。macOS の Quick Look で表示すると日本語は出ましたが、タイトルの改行位置が DeckCraft とは違っていました。なお、PowerPoint 本体で開いた結果は、PowerPoint を持っていないため確かめていません。
PDF 書き出しでは、日本語も欠けずに2ページが出力され、PDF から日本語の文字を取り出すこともできました。ただし中身を調べると、スライドの見た目は1ページごとの画像(200ppi)で、その上に見えない文字を重ねる作りでした。開発元の資料にも「スライドは印刷解像度の画像」とあります。見た目は DeckCraft の画面と同じで日本語の欠けもありませんでしたが、大きく拡大したり印刷所に入稿したりする用途では、画像であることに注意してください。

書き出しの形式は PDF・PNG・JPEG・.pptx・アウトライン(.txt)から選べます。開発元の資料によると、古い .ppt やマクロ付きの .pptm は開けず、テンプレート(.potx)は通常の .pptx として保存されます。
DeckCraftが向いている人・まだ向かない人
向いている人:
- 横書きの簡単な日本語スライドを、無料のソフトで作って .pptx や PDF で渡したい
- 英語の画面に抵抗がない
- アカウントやクラウドなしで、パソコンの中だけで資料を作りたい
まだ向かない人:
- 日本語の画面で使いたい、縦書きの資料を作りたい
- 取引先と .pptx を、フォントや改行まで同じ見た目でやり取りしたい
- 本番の発表資料を、安定したソフトで確実に作りたい(開発元の表示は alpha)
まとめ:DeckCraftは「簡単な横書きスライド」から試す価値あり
DeckCraft は、英語の画面ながら日本語のスライドを作り、.pptx と PDF で保存するところまでできました。一方で、縦書きは横倒しになり、PowerPoint での見え方は未確認で、開発元の表示も alpha の開発途中です。大事な資料は PowerPoint で最終確認する前提で、下書きや社内向けの資料から使ってみるのがおすすめです。
ライセンスや最新バージョンは「DeckCraft の詳細ページ」で、ほかの選択肢は「Microsoft PowerPoint のオープンソース代替」と「Microsoft 365 のオープンソース代替」で比較しています。ArtCraft の検証は「PhotoCraft を実機検証」、シリーズ全体は「ArtCraft の Crafting Apps まとめ」もあわせてご覧ください。
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同じ ArtCraft シリーズの無料アプリです。使っている有料ソフトの代わりを探すときにどうぞ。