n8nは商用利用できる?ライセンスの線引きとZapier・Makeとの料金比較【2026年版】

※内容は2026年9月26日時点の公式情報(n8nのライセンスFAQ、各社の料金ページ)をもとにしています。料金やライセンスの条件は変わることがあるため、契約や導入の前には必ず公式ページを確認してください。本記事は法的な助言ではありません。

「n8nを仕事で使っても大丈夫?」「ZapierやMakeと比べて、結局どれが安い?」。自動化ツールを選ぶとき、この2つで迷う方は多いと思います。

この記事では、n8nの商用利用の線引きを2026年版の公式FAQをもとに整理し、Zapier・Make・n8nの料金を、同じ自動化を動かした場合で試算して比べます。

n8nを仕事で使いたい。でも、商用利用と料金が気になりませんか

n8nは、セルフホストなら無料で使える自動化ツールです。ただ、調べ始めると次のような疑問にぶつかります。

  • 「商用利用は条件あり」と書かれているが、自分の使い方がOKなのかわからない
  • 受託でワークフローを作って納品してもよいのか
  • ネットの記事によって、書いてあることが違う
  • Zapier・Make・n8n Cloudの料金は、数え方が違って比べにくい

実は、n8nのライセンスFAQは2025年版から大きく書き換わっています。古い記事の説明のままだと、本当はOKな使い方をあきらめたり、逆にNGの使い方をしてしまったりするおそれがあります。

私たちはWeb制作とWebサービスの開発をしていて、n8nを実際にVPSへ構築して検証しました(手順はn8nをVPSにセルフホストする手順で紹介しています)。この記事は、その過程で公式の情報を読み込んで整理したものです。

n8nのライセンスは「ワークフローを誰が作るか」で決まる

n8nのセルフホスト版は、Sustainable Use License(SUL)という独自のライセンスで公開されています。ソースコードは公開されていますが、一般的なオープンソースのライセンスとは違い、使い方に条件があります。

条文の要点は次の2つです。

  • 使ってよいのは、自社の内部の業務目的、または非商用・個人の用途
  • 他者への配布や提供は、非商用目的で無償の場合だけ

「自社の内部の業務目的」と聞くと、社外に関わる使い方はすべてダメに思えます。しかし公式のFAQは、判断の基準をもっと具体的に示しています。FAQの冒頭は、次の一文から始まります。

“If workflows are only created or modified by you or people in your organization”(n8n License FAQより)

つまり、ワークフローを作ったり変えたりするのが自社の人だけなら、無料で使えるというのが基本の考え方です。社外の人がワークフローの「結果」を受け取ったり見たりするのは構いません。

2025年版の説明との違い

以前は「利用者の認証情報(APIキーなど)をn8nが扱うかどうか」で線を引く説明が一般的でした。日本語の解説記事も、多くがこの基準のままです。

現在のFAQでは、大事なのは認証情報が誰のものかではなく、ワークフローのロジックを誰が決めるかだと明記されています。また、独自の画面、n8nのAPI、MCP、利用者の代わりに動くAIエージェントなどを経由して、社外の人がワークフローを作れるようにする形も、同じくNGと書かれています。

自社の人がワークフローを作る場合はOK、社外の人が画面・API・AIエージェント経由で作る場合はNG、社外の人が結果を受け取るのはOKであることを示した図

n8nの商用利用:できること・できないこと

公式FAQの例を、表にまとめます。

できること(公式FAQの例) できないこと(公式FAQの例)
自社の業務をn8nで自動化する n8nをサービスとして提供し、顧客にワークフローを作らせる
個人のプロジェクト・学習・研究に使う 自社製品の中で、社外の利用者がワークフローを作成・設定できるようにする(独自UI・API・MCP・AIエージェント経由も含む)
自分のn8nで、顧客のための自動化を作る(顧客は作成・編集しない) n8nのコードをフォークして、自動化の製品として出す
ワークフローの作成・設定・保守の料金、研修・コンサルの料金を請求する ブランドを外して、そのまま提供する(ホワイトラベル)
自社製品の裏側でn8nを使う(利用者は作られた自動化を使うだけ) ライセンスキーが必要な有料機能を、契約なしで使う

ケース別:よくある5つの使い方

使い方 扱い ポイント
受託でワークフローを作って納品する OK 作成・設定・保守の料金を請求してよい。1つのn8nで何社を担当しても構わない。条件は、顧客がn8nの画面やワークフローの中身に触れないこと
顧客のサーバーにn8nを構築して引き渡す OK(条件つき) 顧客自身のサーバーなら、構築・保守の料金を請求できる。ただし、自分がそのサーバーの提供(ホスティング)まで請け負うのは不可
自社のWebサービスの裏側で使う OK 利用者が自分のアカウントを連携するのも可。利用者が自動化を組み立てられる機能にするとNG
n8nを組み込んだ製品を販売する 要確認〜NG 製品の価値の大部分がn8nの機能ならNG。顧客の環境にn8nを同梱して売る形はグレーで、公式は販売前の相談(license@n8n.io)を求めている
社内の別部署・グループ会社で使う 別部署はOK/グループ会社は明記なし 無料版には共有やプロジェクトの機能がなく、複数の部署で1つのn8nを使うのは不便。グループ会社への展開は公式に確認を

2つめの「顧客のサーバーに構築して引き渡す」は、最近FAQに加わった項目です。n8nの構築を請け負う場合は、サーバーを顧客の名義で契約してもらう形にしておくと安心です。

自社のn8nで顧客の自動化を作る形と、顧客のサーバーに構築する形はOK、自社のサーバーに顧客用のn8nを立てて貸す形はNGであることを示した図

「Embed(埋め込み)ライセンスは年5万ドル」は古い情報

自社製品の画面にn8nのエディタを埋め込み、利用者がワークフローを作れるようにするには、別の商用契約が必要です。この契約は以前「Embed」と呼ばれ、「年5万ドルから」と価格が公開されていました。

2026年9月時点では、名前が「OEM」に変わり、価格は非公開(実行回数に応じた見積もり)になっています。また、OEMでもn8nのブランド表示は必須で、ホワイトラベル(ブランドを外すこと)はできません。「年5万ドル」と書かれた記事は、2025年時点の情報と考えてよいでしょう。

判断に迷う場合は、公式(license@n8n.io)に確認するのがいちばん確実です。

Zapier・Make・n8nの料金は「数え方」が違う

3つのサービスは、料金が増える単位がそれぞれ違います。ここを押さえないと、正しく比べられません。

サービス 料金の単位 数えないもの 無料プラン
Zapier タスク=成功したアクション1回ごと トリガー、Filter・Paths、失敗したステップ、組み込みツール 月100タスク。2ステップの自動化のみ、確認は15分ごと
Make クレジット=モジュールの動作1回ごと(トリガーの確認も含む) ルーター、フィルターの通過 月1,000クレジット、動かせるシナリオは2つ、最短15分間隔
n8n Cloud ワークフロー1回の実行ごと(ステップ数は無関係) 手動のテスト、サブワークフロー、新しいデータがなかったポーリング なし(14日間の無料トライアル)
n8n セルフホスト 数えない(サーバー代のみ) — 無料(Community Edition)

最安の有料プランは、次のとおりです(年払いの月あたり額。カッコ内は月払い)。

サービス 最安の有料プラン 月額
Zapier Professional(750タスク) $19.99($29.99)
Make Core(10,000クレジット) $9($10.59)
n8n Cloud Starter(2,500実行) 20€(24€)
n8n セルフホスト Community Edition 無料(VPS代のみ)
同じトリガー1つとアクション3つのワークフローを、Zapierは3、Makeは4、n8nは1と数えることを示した図

同じ自動化で料金を試算:月500回と月5,000回

ここでは、よくある自動化を例に、実際に必要なプランと月額を計算します。

  • 例:フォームの送信 → スプレッドシートに記録 → Slackに通知 → お礼のメールを送信
  • トリガー1つ+アクション3つ。フォームはWebhookで受け取る
  • 金額は年払いの月あたり額(カッコ内は月払い)

月500回の場合

サービス 月の使用量 必要なプラン 月額
Zapier 1,500タスク(3×500) Professional 1,500 $39($58.50)
Make 2,000クレジット(4×500) Core 10,000 $9($10.59)
n8n Cloud 500実行 Starter 20€(24€)
n8n セルフホスト 数えない Community VPS代のみ(月1,000円前後〜)

月5,000回の場合

サービス 月の使用量 必要なプラン 月額
Zapier 15,000タスク(3×5,000) Professional 20,000 $189($283.50)
Make 20,000クレジット(4×5,000) Core 20,000(余裕を見るなら40,000) $16〜$29($18.82〜$34.12)
n8n Cloud 5,000実行 Pro 50€(60€)
n8n セルフホスト 数えない Community VPS代のみ(月1,000円前後〜)

この例では、金額だけならMakeがいちばん安いという結果になりました。Zapierはステップが増えるほど、Makeはモジュールの数と確認の頻度で、n8n Cloudは実行回数だけで料金が変わります。

注意点もあります。

  • Makeで、フォームをWebhookではなく定期的な確認(ポーリング)で受け取ると、新しいデータがなくても確認のたびにクレジットを使うとみられます(1分ごとの確認なら、確認だけで月に約43,200回分)
  • ZapierのCodeやAIのステップ、MakeのAIモジュールは、1回で通常より多くの単位を使います
  • n8nのセルフホストは料金が増えませんが、サーバーの更新やバックアップを自分で行う手間がかかります

どれを選ぶべきか:使い方別のおすすめ

こんな場合 おすすめ
2ステップの簡単な自動化を、少しだけ動かしたい Zapier・Makeの無料プラン
料金をなるべく抑えたい。サーバーの管理はしたくない Make
ステップの多い自動化を、回数を気にせず動かしたい。サーバーの管理はしたくない n8n Cloud
回数もステップも気にせず動かしたい。データを自社で持ちたい n8n セルフホスト
社外の利用者に、自動化を組み立ててもらうサービスを作りたい n8nならOEM契約が必要(要見積もり)

なお、3つとも画面は英語のみです(Zapierは公式ヘルプに英語のみと明記。Makeは公式ヘルプの設定項目に言語の選択がありません。n8nも公式の日本語訳はありません)。ノード名やアプリ名は各サービスの英語の名前と同じなので、英語でも操作に大きく困ることはありません。

まとめ:n8nは「自社で作るなら」商用でも無料で使える

n8nの商用利用は、ワークフローを作る・変えるのが自社の人かどうかで判断します。

  1. 自社の業務の自動化、受託でのワークフロー作成・保守は、商用でも無料で使える
  2. 顧客のサーバーへの構築もOK。ただし自分がホスティングまで請け負うのはNG
  3. 社外の人がワークフローを作れる形にするなら、OEM契約が必要
  4. 料金は、この例ではMakeが最安。回数やステップが増えるなら、n8nのセルフホストが有利
  5. 迷ったら、公式(license@n8n.io)に確認する

n8nをセルフホストする具体的な手順は、n8nをVPSにセルフホストする手順(実機検証)で紹介しています。必要なサーバーはメモリ2GBのVPSが目安です。

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n8n以外の自動化ツールはZapierの代替ツール一覧で、n8nの必要スペックはn8nの詳細ページで確認できます。

参考にした公式情報