Difyをセルフホストして実機検証|8GBのVPSで動く?メモリ・Docker構築・商用利用の条件【2026年版】

※2026年10月7日時点の情報です。Dify 1.17.1(Community Edition)を弊社のサーバーで動かして確認しました。必要スペックやライセンスは版によって変わるため、最新の内容は公式ドキュメントとリポジトリで確認してください。

ChatGPT の代わりに社内で AI チャットボットを作りたいと調べると、まず名前が挙がるのが Dify です。「VPS にセルフホストすれば無料」と書かれた記事は多い一方、実際にどれだけメモリを使い、何でつまずくのかを実測した日本語の記事はほとんどありません。そこで弊社で、最新版 1.17.1 を2コア・8GB の VPS に Docker で立てて確認しました。

結論:Difyのセルフホストは8GBのVPSで動く。ただしLLMのAPIキーは別

  • 起動直後のメモリは約2.1GB。2コア・8GB の VPS で余裕を持って動く
  • Docker イメージは Dify 関連だけで約11.5GB。ディスクは 40GB 以上がほしい
  • コンテナ15個が起動し、管理画面が応答するまで約2分
  • Dify 自体は無料でも、LLM の API キー(OpenAI 等)を別途用意しないとチャットは動かない
  • 商用利用は可能。ただし「複数の会社に貸す」使い方とロゴの削除には商用ライセンスが必要

「動くか」は問題ありません。問題は精度の出るチャットボットを作れるかで、これは弊社の体験として後半に書きます。

Dify 1.17.1 のDocker構築手順と、実機でつまずいた2点

公式ドキュメントの手順はシンプルで、git clone → docker/ に移動 → cp .env.example .env → docker compose up -d の4段階です。公式の前提は CPU 2コア以上・メモリ 4GB 以上、Docker Compose 2.24.0 以上です(2026年10月7日に公式ドキュメントで確認)。

弊社の環境は、さくらのクラウドの2コア・メモリ8GB・SSD 40GB、Ubuntu 22.04 です。.env で EXPOSE_NGINX_PORT=127.0.0.1:8081 のように公開先を 127.0.0.1 に限定し、SSH トンネル経由で管理画面を開きました。Docker で公開したポートはファイアウォールを素通りすることがあるためです。手順は簡単でしたが、2点でつまずきました。

つまずき 何が起きたか 対処
イメージ取得が止まる 1回目の docker compose up -d で、配布元の Docker Hub が 502 Bad Gateway を返し postgres の取得で停止。10分待っても進まず docker compose pull でやり直したら 96秒で全イメージを取得。Dify 側の問題ではない。初回は pull を先に分けると安全
モデルの設定場所が分からない API キーを入れる画面を「設定」(アカウント・外観など)の中で探したが見つからず 左メニューの「連携」→「モデルプロバイダー」にある。初期状態は「設定されていません」で、OpenAI や Anthropic をプラグインとして入れる方式
Dify 1.17.1の「連携」内のモデルプロバイダー画面。「モデルプロバイダーが設定されていません」と表示され、OpenAIやAnthropicのプラグインが並ぶ
左メニュー「連携」→「モデルプロバイダー」(Dify 1.17.1、2026年10月7日に弊社で撮影)。初期状態は「設定されていません」。「設定」の中にはない

また、起動直後の docker compose ps では api コンテナが「unhealthy」と出ます。弊社の環境では約3分(173秒)で healthy に変わったので、慌てる必要はありません。

実測:Difyのメモリ・ディスク・起動時間

起動から2分後、利用者0・モデル未設定の状態で計測しました。同居していた Zammad は停止し、停止後の素の使用量(0.44GB)を差し引いています。

項目 実測値
サーバー 2コア・メモリ8GB・SSD 40GB、Ubuntu 22.04(さくらのクラウド)
起動直後のメモリ(Dify 分) 約2.1GB(全体 2.5GB − 素の状態 0.44GB)
メモリの内訳(上位) worker_beat 471MB・api_websocket 453MB・api 451MB・worker 444MB。この4つで約1.8GB
Docker イメージ(Dify 関連) 約11.5GB(api 4.08GB・plugin_daemon 2.28GB・agent-backend 1.49GB など10個の合計)
ディスクの増加 9.2GB → 21GB(約12GB 増)
コンテナ数 15(api/worker/web/nginx/postgres/redis/weaviate/sandbox/plugin_daemon など)
起動時間 up -d の戻りは15秒。管理画面の API が応答するまで120秒

メモリは公式の下限 4GB に対して実測 2.1GB なので、8GB なら他のサービスと同居できます。ただしチャットも文書登録もしていない「空の状態」の値で、ナレッジに文書を入れれば埋め込み処理とベクトルデータベース(weaviate)の分が増えます。運用時の値は今回測っていません。

意外だったのはディスクです。イメージだけで約11.5GB、api のイメージ1つで 4GB を超えます。20GB の VPS では足りないので 40GB 以上を選んでください。

Difyの画面は日本語?テンプレートの中身は英語

Chrome の言語設定が日本語なら、最初の管理者登録画面から日本語で表示されます(右上に言語の切替あり)。ログイン後のホームも、左メニュー(ホーム/スタジオ/Agents/ナレッジ/Skills/連携/マーケットプレイス)とテンプレート名はほぼ日本語で、一部のタブ(Knowledge Retrieval/Research)やテンプレート名が英語のまま残っています。

Dify 1.17.1のログイン直後のホーム画面。左メニューとテンプレート名は日本語で、一部のタブはKnowledge RetrievalやResearchと英語のまま
ログイン直後のホーム。メニューとテンプレート名は日本語だが、タブの「Knowledge Retrieval」「Research」は英語

ただし、テンプレートの中身は別です。「患者受付チャットボット」からチャットフローを作ると、ノード名(EXTRACT PATIENT INFO/ASSIGN AGE/IF/ELSE など)と注釈はすべて英語でした。LLM ノードには gpt-5.1 が指定されていますが、API キー未設定のため各ノードに「未設定」の警告が付き、このままでは動きません。

Dify 1.17.1のチャットフロー編集画面。EXTRACT PATIENT INFOなど英語のノードが並び、LLMノードに「未設定」の警告が付いている
「患者受付チャットボット」テンプレートから作ったチャットフロー。ノード名と注釈は英語で、gpt-5.1 を使う LLM ノードには API キー未設定の警告(オレンジ)が付いている

「日本語で使える」のは画面の枠までで、フローを直すには英語のノード名とプロンプトを読む必要があります。テンプレートをそのまま社内に出すのは難しく、組み直す前提で考えてください。

Difyは商用利用できる?ライセンスの条件

Dify のライセンスは Dify Open Source License で、Apache License 2.0 に追加条件を付けたものです(2026年10月7日に GitHub の LICENSE を確認)。OSSMatch では、OSI が承認したオープンソースライセンスではないため「ソース公開型」に分類しています。

条文には「Dify は商用利用できる(他のアプリのバックエンドや企業のアプリ開発基盤としての利用を含む)」と明記され、次の2つに当てはまる場合だけ商用ライセンスの取得が必要です。

条件 原文の要点 自社で使う場合
マルチテナント Dify から書面で許可を得ない限り、ソースコードを使って複数テナント環境を運営してはならない。1テナント=1ワークスペース 自社1社で使うなら該当しない。複数の顧客にワークスペースを発行して貸すサービスは不可
ロゴ・著作権表示 フロントエンド(web/ または Docker の web イメージ)を使うとき、コンソールやアプリの LOGO と著作権表示を削除・変更してはならない。フロントエンドを使わない利用には適用されない 管理画面の Dify ロゴはそのまま。API だけ使って自社の画面から呼ぶなら制限なし

社内のチャットボットや自社サービスのバックエンドとして使う分には追加費用はかかりません。複数の会社に Dify を貸す事業を考えている場合だけ、公式への相談が必要です。なお、貢献者向けの条項に「開発元はライセンスを厳しくも緩くも変更できる」とあり、条件は将来変わる可能性があります。

弊社がDifyでのチャットボット開発をやめた理由

ここからは体験です。弊社(合同会社Edel Hearts)は以前、VPS に Dify を立てて AI チャットボットを作ったことがあります。構築は今回と同じく簡単でしたが、回答の精度が出ず、ハルシネーション(もっともらしい誤答)が収まらないまま、環境ごと削除しました。

取引先でも同じことが起きています。Dify で試行錯誤を重ねたものの、最終的には Google のサービスを使って独自開発に切り替えました。率直に言うと、弊社には Dify での AI チャットボット開発にいい思い出がありません。

これは Dify が悪いという話ではありません。ノーコードで組める分、精度を上げるために手を入れられる場所が限られるのです。その後 Dify を使わずに RAG チャットボットを自作した記録は別の記事にまとめています。自作しても「公開しない」判断になったので、難しさは Dify に限りません。

Difyのセルフホストが向いている人・向いていない人

向いている 向いていない
社内で LLM アプリの試作を回したい。8GB の VPS と API キーがあり、Docker に抵抗がない テンプレートを入れればすぐ使えると思っている。中身は英語で、API キーなしでは動かない
社内文書の検索・要約・翻訳など、誤答の許容範囲が広い用途 顧客対応や受付など、誤答が許されない用途。精度の作り込みに限界がある
Dify をバックエンドにして、自社の画面から API で呼びたい(ロゴ条件の対象外) 複数の顧客にワークスペースを貸すサービスにしたい(商用ライセンスが必要)

弊社の結論は「試作には向く、本番には覚悟がいる」です。短い試作で精度の限界を見極めてから、本番に進むかを判断してください。

まとめ:Difyのセルフホストは「動かす」より「育てる」が本番

  • Dify 1.17.1 は2コア・8GB の VPS で動く。起動直後のメモリ約2.1GB、ディスクは約12GB 増える
  • 初回は docker compose pull を先に。API キーは「連携」→「モデルプロバイダー」
  • 画面は日本語でも、テンプレートの中身は英語。API キーがないと動かない
  • 商用利用は可能。複数の会社に貸す使い方とロゴの削除だけ商用ライセンスが必要
  • 弊社は精度が出ずに Dify を削除した。構築より、そのあとの作り込みが本番

Dify の概要、ChatGPT との費用の違い、サーバーの目安は OSSMatch にまとめています。

「Dify で試作したが精度が出ない」「自社で持つべきか判断したい」という場合は、合同会社Edel Hearts のOSS導入支援でご相談を受け付けています。弊社自身がつまずいた分、できること・できないことを率直にお伝えします。

出典