Immichをセルフホストして実機検証|8GBのVPSでGoogleフォトの代わりになる?メモリ・日本語・費用【2026年版】

※2026年10月7日時点の情報です。Immich v3.2.4 を弊社のサーバーで動かして確認しました。必要スペックや機械学習モデルの既定は版によって変わるため、最新の内容は公式ドキュメントで確認してください。

Google フォトの容量が足りなくなり、「自分のサーバーに写真を置けないか」と調べると、まず名前が挙がるのが Immich です。日本語の構築記事は自宅の Raspberry Pi や小型 PC に入れたものが多く、VPS でどれだけメモリを使い、日本語でどこまで使えるのかを実測した記事はほとんどありません。そこで弊社で、最新版 v3.2.4 を2コア・8GB・GPU なしの VPS に Docker で立てて確認しました。

結論:Immichのセルフホストは8GBのVPSで軽く動く。画面は最初から日本語

  • 起動直後のメモリは 約2.0GB。機械学習モデルを読み込んだあとでも全体で約2.9GB
  • Docker イメージは4つで約5GB。ディスクは 5.8GB 増えた
  • 管理画面の API が応答するまで83秒。25枚の写真の取り込みは2秒
  • 歓迎画面から初期設定ウィザードまで、設定なしで日本語で表示された
  • ただし日本語で写真を探す検索は、既定のままでは弱い。多言語モデルへの切り替えが要る
  • 公式の docker-compose.yml はポート 2283 を全公開する設定なので、VPS では手直しが必要

検証に使った写真は、弊社の記事用イラスト25枚(計5.3MB)です。数千枚・数十 GB を入れたときの挙動は測っていません。この点は正直に、後半で書きます。

Immich v3.2.4 のDocker構築手順と、VPSで直した2点

公式ドキュメントの手順は4段階です。ディレクトリを作る → docker-compose.yml と example.env をリリースページから取得 → .env を編集 → docker compose up -d。公式の必要スペックは CPU 2コア以上(推奨4コア)、メモリ 6GB 以上(推奨 8GB)です(2026年10月7日に公式ドキュメントで確認)。

弊社の環境は、さくらのクラウドの2コア・メモリ8GB・SSD 40GB、GPU なしです。手順は簡単でしたが、公式ファイルのまま VPS に置くと危ない点が2つあり、起動前に直しました。

直した点 公式ファイルの既定 弊社の対処
ポートの公開範囲 ports: - '2283:2283'。サーバーの全アドレスで 2283 番が開く。Docker が開けたポートは ufw などのファイアウォールを素通りすることがある '127.0.0.1:2283:2283' に変えて、SSH トンネル経由で画面を開いた。外に出すならリバースプロキシと HTTPS を前に置く
DB パスワード DB_PASSWORD=postgres。ファイル内に「ランダムなパスワードに変えるべき」「使える文字は A-Za-z0-9 のみ」とコメントあり 英数字だけの生成値に変更。記号を入れると接続に失敗するので注意

イメージの取得は 64秒で終わり、1回目の docker compose up -d から /api/server/ping が 200 を返すまで 83秒でした。Dify を同じサーバーで試したときは2分かかったので、Immich は立ち上がりが速い部類です。

実測:Immichのメモリ・ディスク・起動時間・機械学習

起動直後(写真0枚)と、25枚を取り込んで機械学習が走ったあとの2回計測しました。素の状態の使用量(0.47GB)を差し引いています。同居していた Ollama は削除してから測りました。

項目 実測値
サーバー 2コア・メモリ8GB・SSD 40GB、GPU なし(さくらのクラウド)
起動直後のメモリ(Immich 分) 約2.0GB(全体 2.5GB − 素の状態 0.47GB)。内訳 server 1.54GB・postgres 466MB・machine-learning 178MB・redis 9MB
機械学習モデル読み込み後 machine-learning が 178MB → 958MB。全体で約2.9GB。300秒使わないとモデルを解放する設定
Docker イメージ 約5GB(server 2.48GB・machine-learning 1.39GB・postgres 989MB・valkey 167MB)
ディスクの増加 5.2GB → 11GB(約5.8GB 増)。ほかに機械学習モデルのキャッシュ 786MB
起動時間 API が応答するまで 83秒
写真25枚(5.3MB)の取り込み API 経由のアップロードは 2秒。初回はモデル3種の自動取得を含めて、約6分で全ジョブ(サムネイル・メタデータ・スマート検索・顔検出・顔認識・重複検出)が完了
スマート検索の応答 初回 620ms、2回目以降 70〜80ms

初回の取り込み時に、機械学習モデルが Hugging Face から自動で落ちてきます。CLIP ViT-B-32__openai(スマート検索)・buffalo_l(顔検出・認識)・PP-OCRv5_mobile(文字認識)の3つで、合計 786MB でした。GPU がなくても CPU だけで処理は完了します。ただし25枚でこの程度なので、スマホの写真を数千枚入れたときの処理時間とメモリは今回測れていません。公式の推奨も4コアです。

なお検証用の写真はイラストのため、顔検出の結果は0人でした。実写なら人物ごとにまとまる機能ですが、精度は今回確認できていません。

Immichの画面は日本語? 初期設定ウィザードまで日本語だった

ブラウザの言語が日本語なら、最初の歓迎画面が「Immichにようこそ」「はじめる」「バックアップから復元」と設定なしで日本語で出ます。管理者の登録画面(Email・パスワード・名前)も日本語です。

登録後の初期設定ウィザードは、テーマ → 言語 → サーバーのプライバシー → ユーザーのプライバシー → ストレージテンプレート → バックアップ → モバイルアプリ、の7ステップで、すべて日本語でした。ウィザードを終えると「写真」画面になり、左のメニュー(写真・探索・地図・共有・お気に入り・アルバム・ユーティリティ・アーカイブ・鍵付きフォルダー・ゴミ箱)も日本語です。

Immich v3.2.4の「写真」画面。左メニューは写真・探索・地図・共有などすべて日本語で、25枚のイラストがサムネイル表示され、左下にストレージ使用量とサーバーのバージョンが出ている
初期設定ウィザードを終えた直後の「写真」画面(Immich v3.2.4、2026年10月7日に弊社で撮影)。メニューは日本語。左下に「ストレージ使用量 39.2GiB 中 10.9GiB 使用中」「サーバー:オンライン v3.2.4」

画面左下には「ストレージ使用量 39.2GiB 中 10.9GiB 使用中」「サーバー:オンライン v3.2.4」と出ます。40GB の VPS では、OS と Immich 本体で約11GB を使い、写真に回せるのは残り約28GiBです。スマホの写真をまるごと預けるなら、ディスク容量の大きいプランか外部ストレージが前提になります。

日本語で写真を探せる? 既定のモデルは英語向け

Immich の目玉は、キーワードを付けなくても「街」「グラフ」のような言葉で写真を探せるスマート検索です。弊社の25枚で試した結果は次の通りです。

Immichで「都市」と日本語検索した結果。1枚目に無関係な画面のスクショが混ざり、2枚目以降に街のイラストが出ている
日本語「都市」の検索結果。標準の検索モデルは英語向けのため、先頭に無関係な画像が混ざった(2026年10月7日、弊社の検証環境)
検索語 結果
city(英語) 街のイラストが正しく上位
graph(英語) グラフのイラストが正しく上位
都市(日本語) 1枚目に無関係な管理画面のスクショ。2・3枚目が街のイラスト
グラフ(日本語) 上位に無関係な画像が混ざる

原因は、既定のモデル ViT-B-32__openai が英語向けの CLIP だからです。公式ドキュメントの Smart Search の項には、管理画面の「Administration → Settings → Machine Learning Settings → Smart Search」でモデル名を貼り替える手順と、多言語の例として nllb-clip-large-siglip__v1 が載っています(2026年10月7日確認)。切り替えたあとは、ジョブ画面で Smart Search の「All」を実行して全写真を処理し直す必要があります。

多言語モデルに切り替えたときのメモリと処理時間は未検証です。モデルの大きさも確認していないため、8GB・GPU なしで実用になるかは、本番前に自分の写真で試してください。

Googleフォトと費用・機能を比べる

Google フォトの容量は Google One の契約で決まります。日本の公式ページの価格(2026年10月7日確認、月額)と、Immich を VPS に置いた場合の費用を並べます。VPS は例としてさくらの VPS の料金ページ(税込、年額を月換算)を使いました。

選択肢 容量 月額 年額(概算)
Google One 無料 15GB 0円 0円
Google One Basic 100GB 290円 3,480円
Google AI Plus 2TB 1,450円 17,400円
さくらの VPS 4GB SSD 200GB 3,227円 38,720円
さくらの VPS 8GB SSD 400GB 6,454円 77,440円

容量あたりの費用では Google One のほうが明らかに安いです(VPS の SSD 容量は OS と Immich 本体の約11GB を含みます)。Immich が公式に求める 6GB 以上のメモリを満たす VPS は月 6,000円台で、2TB の Google One の4倍以上かかります(4GB プランは公式の下限を下回ります)。

それでも Immich を選ぶ理由は費用ではなく、写真と顔・位置情報のデータを自分のサーバーに置けること、1台に家族や社内のユーザーを何人でも作れること、ライセンスが AGPL-3.0 で利用料がかからないことです。すでに使っていない自宅サーバーや NAS があるなら、費用の差はなくなります。

Immichのセルフホストが向いている人・向いていない人

向いている 向いていない
写真を自分の手元に置きたい。Docker と SSH に抵抗がない 安く済ませたい。容量あたりの費用は Google One のほうが安い
家族や社内で1台を共有したい(ユーザー数に上限なし) バックアップを自分で組みたくない。公式は 3-2-1 バックアップ(DB とライブラリの両方)を推奨しており、放置すると消える
スマホの自動バックアップを使いたい。公式アプリが App Store・Google Play・F-Droid にあり、アルバム単位で選べる 日本語で検索したい。既定のモデルは英語向けで、多言語モデルの負荷は未検証
GPU なしでも我慢できる。25枚なら CPU だけで数分で処理が終わる 数万枚を一気に入れたい。GPU なし・2コアでの大量処理は今回測れていない

弊社の結論は「動かすのは簡単、続けるのが本番」です。写真は消えると取り返しがつかないので、サーバーを立てた日にバックアップ先も決めることを前提にしてください。

まとめ:Immichは軽くて日本語。残る課題は検索と容量の費用

  • Immich v3.2.4 は2コア・8GB・GPU なしの VPS で動く。起動直後のメモリ約2.0GB、イメージ約5GB、起動83秒
  • 公式の compose はポート 2283 を全公開。127.0.0.1 に限定するか、リバースプロキシを前に置く。DB パスワードは英数字だけで変える
  • 歓迎画面から初期設定ウィザードまで日本語。日本語検索は多言語モデルに切り替えてから
  • 容量あたりの費用は Google One が安い。Immich の価値は写真を手元に置けること
  • 数千枚の処理時間、顔認識の精度、多言語モデルの負荷は未検証

Immich の概要、Google フォトとの機能の違い、サーバーの目安は OSSMatch にまとめています。

「自宅サーバーと VPS のどちらに置くべきか」「バックアップまで含めて設計したい」という場合は、合同会社Edel Hearts のOSS導入支援でご相談を受け付けています。弊社が実際に立ててつまずいた点を含めて、率直にお伝えします。

出典