Nextcloudをセルフホストして実機検証|8GBのVPSでGoogleドライブの代わりになる?メモリ・日本語ファイル名・初期警告【2026年版】

※2026年10月25日時点の情報です。弊社のサーバーで Nextcloud 35.0.2 を動かし、確認しています。公式イメージの構成や管理画面に出る警告は版によって変わります。最新の内容については、公式ドキュメントをご確認ください。

Google ドライブの代わりとして「自分のサーバーにファイルを置いて共有したい」と調べると、まず候補に挙がるのが Nextcloud です。日本語の構築記事は豊富ですが、多くは手順の紹介が中心です。VPS でのメモリ使用量や、日本語のファイル名・検索がどこまで使えるかを測った記事は、それほど多くありません。そこで弊社では、最新版 35.0.2 を2コア・8GB の VPS に Docker でセルフホストし、実際の動作を確認しました。

結論:Nextcloudのセルフホストは8GBのVPSでメモリ約600MB。日本語化は設定1つ、初期警告への対応は残る

  • Nextcloud・MariaDB・Redis の3コンテナで、画面操作後のメモリは合計約600MB。8GB のサーバーなら、かなり余裕がある
  • docker compose up -d を実行してから応答するまで39秒(初回インストール込み)。ディスクの増加は3.7GB
  • 設定を1つ変更すれば、ログイン画面からほぼ全画面を日本語で使える。英語のままなのは一部の見出しと、最初から入っているサンプルファイル
  • Mac 形式の日本語ファイル名(濁点が分かれた形)をアップロードしても、重複せず、1つのファイルにまとまった
  • ただし、公式手順どおりに構築すると、管理画面には赤い×の警告が並ぶ。Cron と HTTPS は自分で用意する必要がある

速度の数値はサーバー内で測定したもので、インターネット回線を通した速度ではありません。画面についても、SSH トンネル経由の http で確認しています。これらの条件による限界は、各項目で説明します。

検証環境とNextcloudのDocker構成(公式イメージ+MariaDB+Redis)

使用したサーバーは、さくらのクラウドの2コア・メモリ8GB・SSD 40GB(Ubuntu 22.04、Docker 29.8.2)です。計測時には、同じサーバー上のほかのコンテナをすべて停止しました。

Docker Hub の公式イメージ nextcloud:apache を使っています。公式イメージの README に掲載された「Base version – apache」の例をもとに、データベースの MariaDB とキャッシュの Redis を組み合わせ、3コンテナで構成しました。例から変更したのは、以下の4点です。

変更した点 弊社での対応 理由
公開ポート 127.0.0.1:8080 だけに限定 検証中の外部アクセスを防ぐため。画面は SSH トンネル経由で開いた
パスワード .env に分離し、権限を 600 に設定 compose ファイルへの直接記載を避けるため
管理者アカウント NEXTCLOUD_ADMIN_USER/NEXTCLOUD_ADMIN_PASSWORD で自動作成 初回のセットアップ画面を省略するため
キャッシュ Redis のコンテナを追加 例の構成には含まれていないため

公式イメージの README 冒頭には、このイメージはコミュニティのボランティアが保守しており、上級者を対象としているとの注意書きがあります。フル機能を手軽に使いたい場合は、Nextcloud 社が保守する「All-in-One」を使うよう案内されています(2026年10月25日確認)。今回は構成を把握しやすい公式イメージを選んで検証しました。All-in-One は試していません。

実測:Nextcloudのメモリ使用量・ディスク・起動時間

メモリは、起動から60秒後と、ファイルのアップロードや画面操作を終えたあとの2回に分けて測定しました。

項目 実測値
サーバー 2コア・メモリ8GB・SSD 40GB(さくらのクラウド)
Docker イメージ nextcloud:apache 2.13GB・mariadb:lts 464MB・redis:alpine 161MB。取得に31秒
起動時間 up -d が戻るまで8秒。/status.php が 200 を返すまで39秒(初回インストール込み)
起動60秒後のメモリ サーバー全体では 241MB 増加。コンテナ別の値は app 178MB・db 154MB・redis 10MB
小さなファイル500個のアップロード後 app は 325MB に増加
画面操作後 app 427MB・db 165MB・redis 11MB、合計で約600MB
ディスクの増加 約3.7GB(イメージと初期データ)

コンテナ別の数値には、docker stats の表示を用いています。約600MB という結果を見る限り、2GB クラスの VPS にも収まる見込みです。ただし、測定したのはファイルの保存と共有だけを動かした状態です。Office 文書の共同編集(Collabora など)やほかのアプリを追加すれば、メモリ使用量は増えます。追加後の状態については、今回計測していません。

実測:Nextcloudのアップロード・ダウンロード速度(WebDAV)

サーバー内から curl で WebDAV を呼び出し、大きなファイル1つと、小さなファイル500個を送信しました。

内容 結果
1GB のファイルを1つアップロード(PUT) 25.0秒(約43MB/秒)
同じファイルをダウンロード(GET) 2.5秒。内容は元のファイルと一致
20KB のファイル500個(日本語名)を1つずつアップロード 181秒(1個あたり約0.36秒)

大きなファイルを1つ送る場合に比べ、小さなファイルを大量に送るほうが時間を要します。1GB は25秒で完了した一方、合計10MB ほどの500個には3分かかりました。書類や写真をフォルダごと移す場合は、この違いを見込んでおくと安心です。

先にも触れたとおり、これはネットワークを通さずに測った値です。事務所や自宅から実際に利用する際の速度は、回線の太さによって変わります。今回の数値は、「サーバー側がボトルネックにならないか」を判断する目安としてご覧ください。

Nextcloudの画面は日本語で使える? 設定1つでほぼ全画面が日本語に

弊社では、occ コマンドを使って以下の3つを設定しました。

  • default_language を ja
  • default_locale を ja_JP
  • default_phone_region を JP

言語を ja に設定すると、ログイン画面の時点で「Nextcloud へログイン」「アカウント名またはメールアドレス」と日本語で表示されました。

Nextcloud 35.0.2の日本語のログイン画面。「Nextcloud へログイン」「アカウント名またはメールアドレス」「パスワード」「ログイン」と表示されている
default_language を ja にしたあとのログイン画面(Nextcloud 35.0.2、2026年10月25日に弊社で撮影)

ファイル画面のメニュー(すべてのファイル・個人ファイル・最新・お気に入り・共有・タグ)に加え、管理画面の警告文もほぼ日本語になっています。英語のまま残っていた箇所は、次のとおりです。

  • 管理画面の警告に含まれる「Check the background job settings」という一文
  • 設定画面の左メニューにある見出し「Personal」「Administration」
  • 初回に表示される紹介動画(Nextcloud Hub 26 Summer)
  • 最初から入っているサンプルファイル(Readme.md、Nextcloud Manual.pdf、Welcome の文章)

英語のサンプルファイルは、社内で配る前に削除しておくと戸惑いを減らせます。全体としては、利用者が操作する画面はほぼ日本語と考えてよい状態でした。

Nextcloudの日本語ファイル名は大丈夫? Macの濁点問題と日本語検索

日本語のファイルを共有する際、気になるのが Mac で作成したファイル名の扱いです。Mac では「ガ」のような濁点付きの文字を、「カ」と「゛」に分けた形(NFD)で扱う場合があります。これが原因で、Windows との間で同じ名前のファイルが2つできることがあります。

確認のため、「ガイドブック_第1版.txt」という同じ名前のファイルを、普通の形(NFC)と分かれた形(NFD)で続けてアップロードしました。

操作 結果
NFC の名前でアップロード 新規作成(201)
同じ名前を NFD でアップロード 上書き(204)。別ファイルは作られない
フォルダの一覧 ファイルは1つのみ。名前は NFC で保存されていた
NFC・NFD どちらの名前で取得 どちらの名前でも同じファイルを取得できた

Nextcloud では、分かれた濁点を普通の形にそろえたうえで保存していました。Mac と Windows が混在する職場でも、この問題は起きにくいと言えます。

Nextcloudのファイル画面で「経理書類」フォルダを開いたところ。お知らせ_年末年始.png・請求書_2026年10月.png・領収書_文具.pngの3つの日本語名のファイルがプレビュー付きで並び、左メニューも日本語
日本語名のファイルを入れた「経理書類」フォルダ。ファイル名もメニューも日本語で表示される(2026年10月25日に弊社で撮影)

ファイル名での検索も確認しました。日本語名の請求書・領収書・お知らせの画像を入れた「経理書類」フォルダを作成し、「ガイド」「請求」で検索しています。WebDAV の検索と画面上部の統合検索のどちらでも、日本語のファイル名がヒットしました。

Nextcloud画面上部の統合検索に「請求」と入力し、「請求書_2026年10月.png(経理書類 で)」がヒットしている画面
統合検索で「請求」と入力すると、日本語のファイル名がヒットした。中身の全文検索ではなくファイル名の検索(2026年10月25日に弊社で撮影)

ただし、ここで確認したのはファイル名の検索です。Google ドライブのように、ファイルの中身を対象にした全文検索は標準では備わっていません。利用するには Full text search などのアプリと、Elasticsearch のような検索エンジンを別途用意する必要があります。今回は試していません。

公式手順のままNextcloudを構築すると並ぶ警告:Cron・HTTPSほか

構築直後に管理画面の「概要」を開くと、「セキュリティ&セットアップ警告」の欄に赤い×や黄色い三角が並んでいました。

Nextcloud管理画面の「セキュリティ&セットアップ警告」。Cron 最後の実行とHTTPSアクセスに赤い×、Mimetypeの移行・データベース設定・HTTPヘッダーに黄色い警告が並ぶ
公式イメージのまま立てた直後の警告。Cron は「56 年前」と表示され、http でのアクセスにも赤い×が付く(2026年10月25日に弊社で撮影)
表示 内容 対処
× Cron 最後の実行 「56 年前」と表示。バックグラウンドジョブがまだ一度も実行されていない 公式イメージでは cron が動かない。cron 用コンテナを追加するか、ホストの crontab から php cron.php を呼び出す
× HTTPS アクセスと URL http でアクセスしている 今回はトンネル経由の http を使用したため。本番ではリバースプロキシで HTTPS にする
△ Mimetype の移行 移行できることを知らせる案内 画面に表示される occ コマンドで実行
△ データベース設定 チェックが1つ失敗 詳細を確認し、調整する
△ HTTP ヘッダー HSTS ヘッダーが未設定 HTTPS 化に合わせ、リバースプロキシ側で設定
ⓘ そのほか メールサーバー未設定、二要素認証が強制されていない など 利用方法に応じて設定

なかでも Cron は見落としやすい項目です。公式ドキュメントでは、バックグラウンドジョブの実行方法は AJAX が既定である一方、推奨は cron とされています(2026年10月25日確認)。公式イメージの README にも、cron の追加例を examples フォルダに用意しているとの案内があります。

つまり、構築しただけでは、本番で使える状態にはなりません。外部に公開して利用する場合は、cron・HTTPS・メールの設定までを初期作業に含める必要があります。弊社の検証は警告の確認までで、すべて解消した状態でのメモリ使用量や速度は計測していません。

NextcloudはGoogleドライブの代わりになる? できることと未確認のこと

今回確認できたことと、まだ確認していないことを、以下に分けて整理します。

確認できたこと 今回確認していないこと
8GB の VPS で約600MB のメモリで動作する 利用者や保存ファイルの増加に伴うメモリ使用量
ログイン画面からほぼ日本語で表示される スマホアプリ・パソコンの同期アプリの動作
Mac の日本語ファイル名が重複しない Office 文書の共同編集(Collabora などの追加)
日本語ファイル名を検索できる ファイルの中身を対象とする全文検索
1GB のアップロード25秒(サーバー内) インターネット回線経由での実際の速度

「ファイルを保存し、日本語の名前で探して共有する」という用途であれば、Google ドライブの代わりとして十分に候補になります。一方、ドキュメントの共同編集や中身の検索まで同様に使うには、別のアプリを追加して検証する必要があります。ライセンスは AGPL-3.0 で、ソフト自体の利用料は不要です。

Nextcloudのセルフホストが向いている人・向いていない人

向いている 向いていない
社内の書類を自社サーバーで保管したい。Docker と SSH の利用に抵抗がない 構築したらすぐに使いたい。cron・HTTPS・メールの設定は残る
8GB クラスの VPS をすでに持ち、ほかの OSS と相乗りさせたい(Nextcloud 分は約600MB) Office 文書の共同編集を Google ドライブと同様に使いたい。アプリの追加が必要
Mac と Windows が混在し、日本語ファイル名の重複に困っている ファイルの中身も検索したい。標準で検索できるのはファイル名だけ
大きなファイルを中心に保存したい 小さなファイル数万個をまとめて移したい。500個で3分かかった

弊社としての結論は、「軽くて日本語にも強い。ただし、構築した日に設定作業が残る」です。公開前には、管理画面に出る警告をひとつずつ解消する時間を見込んでおいてください。

まとめ:Nextcloudは軽く、日本語ファイル名にも強い。課題は初期設定

  • Nextcloud 35.0.2 は2コア・8GB の VPS で動作。合計メモリは約600MB、起動39秒、ディスク増加約3.7GB
  • 1GB のアップロードは25秒(サーバー内)。小さなファイル500個では181秒を要した
  • default_language を ja に設定すると、ログイン画面からほぼ日本語になる
  • Mac の濁点が分かれたファイル名も1つにまとまる。日本語のファイル名での検索も可能
  • 公式イメージのままでは Cron と HTTPS に赤い×が表示される。公開前の設定が必要
  • 回線経由の速度、共同編集、全文検索、同期アプリについては未検証

Nextcloud の概要や、ほかの Google ドライブ代替 OSS については、OSSMatch にまとめています。

「公式イメージと All-in-One のどちらで構築するべきか」「cron や HTTPS を含めて設定したい」といったご相談は、合同会社Edel Hearts のOSS導入支援で受け付けています。弊社が実際に構築し、警告が並ぶところまで確認した内容をもとに、修正すべき箇所を具体的にお伝えします。

出典